橘は、紀伊半島以西の地域の太平洋側に広く分布する日本原産のみかん科の植物で、非時香果(ときじくのかぐのこのみ)と呼ばれ、古代から常世の国の象徴として取り扱われてきました。特に天照大神との関係においても「南の殿に 橘植ゑて 香久の宮 東に桜植ゑ 大内宮 親ら政 聞こし召す あまねく民も 豊かなり」と「秀真伝」にも記されており、神聖な植物でした。
また、橘は古事記や日本書紀にも登場し、常世国から田道間守(三宅連の祖)が持ち帰ったと記されています。
「ニホンタチバナ」は、初夏に香の高い白色の五弁の花が咲きます。この花の称して「ハナタチバナ」と呼ばれます。果実は冬に熟しますが、すっぱくて食べれないそうです。このほか「アベタチバナ」という表現があり、「あべ」は「あえ」の意味で、香の良い皮をあえ物に使ったことからついた名です。俗には「ミカン」「クネンボ」といわれています。(ミカン:葉は濃緑色で光沢があり、花は白色五弁。果実は黄熟し、食用。クネンボ:九年母。インドシナ原産のミカン科の常緑小高木で、初夏に香の高い白色の花をつけ、果実は橙色で食用。)
「橘」の学名はcitrus
tachibanaで、沖縄のシイクワシャーと2種類だけが日本原産の柑橘種です。シトラスということでわかるように、さわやかな柑橘類の香りが特徴であり、この香りがいつまでも消えないことから、非時香果(いつまでも香りが消えない果実)と言われた。また、橘は常緑樹で、葉も肉厚で常に緑を保ち艶やかであることから、永遠性と神秘性を併せ持つ植物として、古代から特別な意味を持つと考えらていました。
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